住宅建設の依頼先について

住宅建設の依頼先の違いによるお金の流れについて考えてみます。
(あくまで一つの例としてお読み下さい。)

<前提条件>


土地取引から生じる利益を100万円とします。
住宅の工事請負から生じる利益を工事費とは別に300万円とします。
設計料を100万円とします。このうち利益分を30万円とします。

大手ハウスメーカーは住宅にコマーシャル料やコンサルタント料が上乗せされます。
大手ハウスメーカーは材料の大量発注が可能となり仕入れ単価は工務店の発注単価より一層安く仕入れる事が出来ます。
個人としては大きな問題かもしれませんが融資手続き等の煩雑さは考慮しません。

<①大手ハウスメーカーに全てをお願いする場合>


■大手ハウスメーカーは委託先不動産業者に土地を探させます。
■大手ハウスメーカーは委託先設計事務所に設計料を100万円から50万円に値引いて発注します。
(委託先設計事務所は安定した継続業務を確保する為に値引きに応じる。)
(大手ハウスメーカー社内の設計部で行う場合は設計料を120万円として注文者に請求するか経費に計上する。)
■大手ハウスメーカーはコンサルタント料・TV広告費・住宅展示場経費等を工事費に転嫁します。
■材料の大量発注により地場の工務店より安く仕入れた差額分は大手ハウスメーカーの営業利益となります。
■工事見積書には、地場の工務店が発注する単価を使います。
■大手ハウスメーカーは地場の委託先工務店に工事を350万円安く発注します。
■委託を受けた工務店は赤字分50万円(350万円-300万円)を各工種毎に振分けて負担します。

<②不動産業者が紐付きの土地を紹介する場合>


■不動産業者は工事の発注(直接ではないにしろ紐付きなので)の紹介料として工務店から100万円を受取ります。
■工務店は利益を300万円から200万円に圧縮されます。
■不動産業者は設計事務所から業務発注紹介料として20万円を受取ります。
(=設計料を20万円安く発注する)
■設計事務所は純利益を30万円から10万円に圧縮されます。

<③工務店に請負工事を発注して土地は不動産業者に探してもらう場合>


■工務店は不動産業者から紹介料として30万円を受取ります。(個人が不動産業者に直接依頼する場合は30万円の受取りは発生しない。)
■不動産業者は土地所有者と利益を折半する為30万円X2=60万円高い値段で交渉する。
結果として土地購入者に60万円を負担させます。
■工務店は設計事務所から業務発注紹介料として30万円を受取るか、自社設計部内で設計し、100万円の設計料を受取り、設計の純利益30万円を確保します。
■工務店の利益は変わらず300万円となる。
■工務店は設計事務所から紹介料として20万円を受取ります。(=設計料を20万円安く発注する)
■設計事務所は純利益を30万円から10万円に圧縮されます。

<④設計事務所にお願いして、土地を不動産業者に探してもらい、
                工務店に請負工事をお願いする場合>


■設計事務所は設計料として100万円受取り、純利益30万円を確保します。
■設計事務所は不動産業者から紹介料として30万円を受取ります。
(このような手数料をけして受取らない事務所も多いです。)
■不動産業者は土地所有者と利益を折半する為30万円X2=60万円高い値段で交渉する。
結果として土地購入者に60万円を負担させます。
■設計事務所は工務店から紹介料として100万円を受取ります。
(このような紹介料を受取ったら設計事務所の存在意義が無いと考えている事務所も非常に多いです。)
■工務店は利益を300万円から200万円に圧縮します。

<どの方法を選択すべきか>


①を除き②~④のどの方法を選択しても、同じ仕様の住宅であれば注文者個人が支払う合計金額は極端に違わないですね。
しかし、支払い先別の利益を比較すると大分違いがあります。

どのような利益配分を選択すれば適切なのか?又、その利益配分により住宅の質に影響があるのか一度考えてみる必要があると思います。

①の場合、実際に工事を行う地場の工務店が自社の名前で工事を受注していないという点が問題ではないかと思います。