在来工法に一言

在来工法2階建ての1階に広いLDKを計画すると室内に壁が配置しにくいという理由から外壁には多数の筋交いが取り付けられます。

その結果、外張断熱工法を除いて筋交い材位置では繊維系断熱材の厚さが規定厚の半分程度に圧縮される箇所が発生します。

断熱材の厚さが半分程度に圧縮されますと、繊維系断熱材の材料の量は同じですが、断熱効果を発揮する空気層の厚さが半分程度になってしまいます。

グラスファイバー等の繊維系断熱材は空気層が命なのです。

外壁に「たすき掛け」(たすきのようにX印に2本の筋交いを入れます。)の筋交いが計画されている場合、 グラスファイバー等の断熱材は、筋交いに沿ってカットしない限り断熱材が押しこまれ規定厚の半分程度になります。

断熱材を筋交いに沿ってカットして施工した場合は、筋交いとの境界に施工隙間が生じる危険性が非常に高くなってしまいます。 又、柱より薄い筋交い部はより一層熱橋となります。

解釈にもよりますが、設計図に断熱材厚さの明記がある以上、筋交い材による断熱材の圧縮が許されるのかと問われてしまうと厳密には問題があると思います。

設計図に筋交い等の断熱欠損が生じる旨の記載と熱損失計算において欠損の考慮がされている事が前提になると思います。

外壁の熱損失計算においても柱や胴差し等の熱橋は考慮されますが、筋交いまで考慮されていないのが実情でしょうから、正確に断熱考慮されていないグレーゾーンと判断されてもおかしくないと思われます。

しかし、断熱材施工が全て規定厚であり筋交い部は断熱材を切り欠くとすると筋交い部が熱橋になるのは変わりませんから切り欠くよりは良いとは言えると思います。

どちらにしても筋交い部は熱橋になるのでその分を考慮して断熱抵抗を検討する必要があります。

在来工法の充填断熱には筋交いが悪さをして、使用断熱材の性能が十分発揮出来ない場合が多々あるという事です。

設計の段階から、外壁には極力筋交いを配置せずに「MDF・構造用合板等の板状耐力壁」を利用する等の考慮も必要になると思いますす。

2X4工法の場合は、スタッド(枠組み)以外に斜めに邪魔な構造材がないので断熱材の充填も欠陥が出にくいと思います。

ある東関東の大手ハウスメーカーの建売を購入する相談を受けた時に、外壁の断熱仕様がグラスファイバーの100mmで、筋交いたすき掛け (たすきのようにX印に2本の筋交いを入れます。)であった為、100mm厚の断熱材が入らないのは問題があると問い合わせました。

この質問に大手ハウスメーカーは大変困ったらしく、100mmの材料は入っているんですがね・・・・その先の回答や検討書も出てこなかったそうです。
他の件でサービスするような回答だったという事です。