住宅建築時の問題点②

木材プレカットによる構造安全性について

在来工法の柱や梁の継ぎ手・仕口を組立てられる様に事前に工場で精密加工する事をプレカットと言います。

当然ですが、精密加工するには、材料強度(材種)・部材寸法・部材配置が必要になります。

この作業は殆ど全てがCAD(コンピュータで図面を描く)でPCに入力して行われます。

そこで問題になるのが、部材寸法と部材配置を誰がどの様な方法で行っているかという事です。

構造設計完了後にプレカットオペレータにデータが送られれば問題は人為的入力ミス以外には少ないです。

(建築設計の現場ではCADオペレータには設計責任は発生しない。事になっています。もしミスがあっても、それをチェック出来なかった設計者の責任になります。)

実情は、確認申請に必要な最低限の図面(平面図・立面図・かなばかり図)をプレカット会社に送付します。

プレカット会社は構造設計も行った事のない(設計士でもない)従業員が部材寸法と部材配置を決定してプレカットデータをPCに入力している場合が相当数存在します。
委託した設計士や社内の設計士(構造設計が出来る)が行う企業も存在しますが、構造設計と同程度の作業が生じる為経費節減の的になっているように思われます。


設計者が事前に構造設計を完了させてから発注すれば問題は生じないのですが、2階建には建築基準法上精密な構造計算が義務付けられていない為殆ど行われておりません。
注文住宅で設計士が正式な依頼を受けた場合でも構造計算料として明記されていない場合は精密な構造設計は行われていません。

特に上階の柱や壁を受ける梁は構造的に安全性を十分確認する必要があります。

よって構造設計が終わってからプレカットするようになっていないと非常に問題です、この点を事前に確認しておく必要があります。

東関東の大手ハウスメーカでは全ての2階建て木造住宅に構造設計を行い、購入者に契約書の一部として渡しています。
中にはがんばって高基準にしている業者も存在しています。

2X4工法(枠組み壁工法)の場合、上階の壁受け梁や梁受け梁以外は、長さを合わせてカットするだけですので専門的なオペレーションは必要ありません。
2X4工法(枠組み壁工法)で構造計算を行っていない場合は、在来軸組み工法の部材決定根拠より甘い認識で施工図を作成している場合が非常に多いです。

本来であれば、プレカット図に、使用樹種等級等以外に構造計算をした設計士名・登録番号やCADオペレータ担当者名を明記させるべきでしょう。
又、ボルト穴による欠損の耐力低減の考え方(耐力低減率)・蟻仕口(梁に梁がぶつかる接合部)の耐力低減の考え方(耐力低減率)等を 明記してもらい、構造上の仕様を明確にしてもらう事も必要だと思います。

最近は建築基準法・施行例によって、部材接合金物としてホールダン金物という引き寄せ金物を必ず使用するようになっています。
しかしボルト金物を梁に貫通する穴は18mmもあります。105mmの部材であれば17パーセントも欠損します。
構造計算しないでその欠損は考慮されているのでしょうか?はなはだ疑問です。確認してみる必要があります。